TR's野球コラム【その3】

 【野球肘〜その1〜

 少年野球と故障、特に肘の故障はなかなか切り離せない問題です。
 我々の子供の頃は食い物なのかいつも体を動かして外で遊んでいたためか、あまり肘の故障を聞いた事はありませんでしたが。

 長男が5年生の1月、チームの6年生キャッチャーが引退し、その後釜とするためにキャッチャーの練習を始めました。
 以前より肘が下がり気味で送球していたため、これを機にしっかりと投げ方を教え直そうとしてはいたのですが急には直るわけもなく、ある日突然「肘が痛い」と言い出しました。
 「ついに来たか」と思い暫くはノースローで様子を見ていたものの一向に改善されず、整形外科で受診する事に。
 
 結果は「剥離骨折」。筋肉と骨とのつなぎ目が剥がれかかっているとの診断。
 最低1ヶ月はノースロー、ノースイングで様子を見てくれとの事。
 ガックリする息子を横目に「我慢するしかないか」と暫くはランニング中心の練習に。

 1ヶ月が経ち再度受診したところ「そろそろ投げても構いません」と言う事でスローを再開。
 しかしやはり投げる距離が伸びるとまたもや肘が痛み出しました。
 「無理はさせられん」と言う事で通院と塗り薬で様子を見ますが2ヶ月を越えても改善の兆しは見られず・・・。

 3月末、帰任辞令が出て関西に戻る事になりました。
 以前住んでいた所に戻るのでチームも元所属していたチームに再入部する事に。
 監督、コーチ陣に長男の肘の話をすると「近所に元プロ野球選手が接骨院を開いたらしいで」と聞き、早速受診。
 整形外科でもらったレントゲン写真を見せ、先生が触診すると・・・。
 「こりゃ剥離骨折と違うな」
 ということで肘を曲げたり伸ばしたりあちこち触った後に「よし、いっぺん腕を振ってみぃ!」と。
 息子がスローイングの腕の振りをすると・・・「あれ?痛く無いっ!」
 ビックリしつつも半信半疑で帰宅後にキャッチボールをしてみると全く痛みが無く投げられるでは・・・!!

 先生曰く「成長期はまだ骨も筋肉もしっかりしておらず、輪っか状の筋肉を通っている骨が抜けかけて(ズレて)いる若干「亜脱臼」のような状態」だったようで、それを元に戻したとの事。
 ただし完治したわけではなく、もう暫く骨と筋肉の状態が安定するまでは調整という形で通院するしか無いと。
 併せて「今のうちにちゃんとした投げ方を教えてあげなさい」と言う事で投げ方の矯正方法まで教わりました。

 以降は週1回接骨院に通い調整、整体を続けながら練習時にはテーピングを撒いて投げる事に。
 (先生曰く「体の中心がズレていると投げる時にどこかに負担がかかり、それを自然とかばうとバランスを崩し変な投げ方になって結果的に肘に負担がかかってくる」との事で整体も必要であり重要であるということらしいです)

 それまではキャッチボールの時点で肘痛のために涙目になっていた長男でしたが、だんだんと投げる距離も伸び、また「痛い」と訴える回数も減り、夏を過ぎた頃にはテーピングをしなくても大丈夫な状態に戻りました。

 「この先生にもっと早く出会っていれば、春先もっと野球が出来たのになぁ」と思いましたが、それより「もっと早く投げ方に気を遣ってやれば」と申し訳なく思いました。

 指導者講習会での受け売りもありますが結論から言えば肘痛の場合は

  1.まずは整形外科でレントゲンなどを撮って骨折か否かを見る
    最初から接骨院に行くのは善し悪しあり
  2.結果を以て暫くはノースロー、ノースイング
  3.状況に応じてセカンドオピニオンも重要

だと思いました。
 ただ子どもそれぞれ症状が違うので一概には言えないかと思いますが。

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